免疫力は、菌やウイルス、エラー細胞(がん細胞)を見つけて破壊してくれる、体に備わるすばらしい防御システムです。
とても重要なシステムであり、免疫力の強さの差が、犬猫たちの健康を左右していると言っても、けして過言ではありません。
では、その免疫力を強くするにはどうしたら良いのでしょう?
いくつかの方法や対策があるのですが、そのうちの1つを取り上げて説明します。
免疫力は鍛えると強くなる
免疫力は鍛えることで強くなり、良い働きをするようになります。
逆に免疫にやさしくしすぎて過保護になっていると、免疫力は低下して弱くなってしまいます。
これを理解するために、まず免疫力はざっくり2段階で働いていることを知っておくと良いです。
- 1段階め「敵を見つける」
- 2段階め「見つけた敵を攻撃して破壊する」
ひとえに免疫力と言っても、その働きはとても複雑で、現代科学をもってしても、免疫力のすべてを解明するには至っていません。
ここではあえて簡易的に2段階にわけていると思ってください。
免疫の働き方には「まず敵を見つけて、それから攻撃する」という基本的な流れがあるわけですが
もし敵と味方の区別がつかなかったらどうなると思いますか?
その場合は、体に侵入してくるウイルスや細胞を敵だと認識できません。
自分の正常な細胞を、敵だと勘違いして攻撃してしまうかもしれません。
ですので、免疫力が正しく機能するためには、まず敵と味方を正確に区別する必要があります。
そのために必要なのが、免疫の教育です。
敵を知るための教育です。
教育の中でも一番実践的で、役に立つのは、実際の敵を見て覚えることです。
細菌を見せたり、ウイルスを見せることで免疫は鍛えられ、強くなっていきます。
これは別に難しいことではありません。
家にいて、普通に一日過ごすだけでも、数えきれない菌に触れ、ウイルスやカビ菌に触れることができるでしょう。
散歩に行けば、もっとたくさん触れることができるでしょう。
普通の生活の中で、免疫は教育されているのです。
逆に衛生的な心配から、外に出すのを控えて、除菌をして空気清浄機を使った室内で過ごさせたらどうでしょう。
免疫力が教育される機会は減り、免疫力を強くすることは難しくなってしまいます。
免疫力は残念なことに歳を取ると低下してしまうものですが、生活環境をあまりに衛生的にした場合、免疫力が早く弱まってしまい、将来の健康維持が難しくなってしまう心配があります。
体調の悪いときの無理はいけませんが、普段から免疫力を鍛えるという意識をもっておくと良いですね。
免疫はガン細胞を見つけるのが苦手?
がんは、人だけでなく、犬猫の社会においても深刻な病気です。
たいていの場合で、がんは大きくなるまで見つけることが難しく、やっと見つかったときにはすでに数千万個、数億個という数にまでガン細胞が増えてしまっています。
本当は免疫がしっかり働いて、異常細胞であるガン細胞を見つけ出して、破壊するべきです。
でもそれがうまくいかないのには理由があります。
理由の1つとして、「ガン細胞は、体の外から侵入してくる外敵ではなく、もともとは自分の細胞だった」ことが挙げられます。
ガン細胞と正常細胞はあきらかに違う部分もありますが、逆に共通部分も多いと言えます。
免疫が味方であると勘違いしてしまうと、攻撃してくれません。
結果としてガンは成長してしまいます。
とは言いましても、免疫の働きによって、体内に毎日発生している数百から数千個のガン細胞のほとんどは破壊されていると考えられています。
ですので一概に「免疫はガン細胞を見つけるのが苦手」とは言えません。
「敵を知り、己を知れば、百戦あやうからず」という言葉がありますが、免疫力もまさにそうだと思います。
インフルエンザにかかる人と、かからない人の違いも免疫力
免疫力はもちろん人においても重要な防御力です。
免疫力の差が、健康を大きく左右します。
たとえば冬に映画館を見に行ったら、インフルエンザにかかってしまったとします。
しかし一緒に行った友人はかかりませんでした。
同じ時間、同じ密閉空間で、充満するインフルエンザウイルスを吸い込んでいたとしても差は出るものです。
条件や環境は同じです。
何が違うのかと言えば、結局は免疫力の差と言うことができます。
ワクチンは免疫力を鍛える薬
ワクチン接種を受けると、ペットたちはその病気にかかりにくくなります。
それはワクチンに含まれているウイルスなどの情報によって、免疫力が教育されるためです。
いわば「免疫スパルタ教育法」といった感じでしょうか。
外敵の情報で教育された免疫は、実際にウイルスに出会ったとき、すぐに見つけ出して攻撃できます。
教育訓練のおかげで、いざ本番というときに強いわけです。
ワクチンにはこのようなメリットがあるので推奨されているのです。
もちろん薬ですから副作用がないわけではありませんし、免疫低下が起こっているときにワクチンのメリットは失われがちです。
特にガンを心配しているときは注意してほしいと思います。
かかりつけの動物病院とよく相談して、必要に応じて上手に活用しましょう。