肝臓の仕事はさまざまですが、「毒を分解して無毒化する」働きはペットの健康を守るために重要です。
たとえばアンモニアという毒は、腸内で毎日発生していますが、肝臓が元気ならば、これを問題なく解毒してくれます。
アンモニアの分解は、肝臓の大切な仕事
アンモニアは、かなり毒性の高い物質です。
食事に含まれているわけではありませんが、食べた肉(タンパク質)が腸内の細菌によって分解されるときに発生してしまいます。
そして栄養のように腸から吸収され、血液に入ってきます。
放っておけば体は毒に侵され、脳がダメージを受けるので危険です。
この危険なアンモニアを分解してくれているのが肝臓です。
肝臓はアンモニアを分解して解毒し、無毒な尿酸という物質に作り変えてくれます。
この肝臓の働きのおかげで、ペットたちは安心して肉や魚を食べることができるのです。
肝臓が元気であることは、健康のためにとても大切なことなのです。
肝臓の機能が大きく低下しているときは危険
肝臓の重い病気、たとえば肝硬変では、肝臓の機能が大きく低下しています。
するとアンモニアを十分に処理することができず、血液中のアンモニアがどんどん増えてしまいます。
もしそうなってしまったら、いままでどおりに肉を与え続けていると危険です。
タンパク質の少ないペットフードに変えたり、手作り食なら肉や魚は控えめにしたほうが良いでしょう。
食事について、獣医師のアドバイスをよく効いてください。
軽度の肝臓病ではどうか
少し肝臓が腫れているくらいの肝炎では、肝臓の機能が大きく低下するようなことはあまりありません。
肝機能がしっかりしていれば、アンモニアもまず十分に処理することができます。
この時点でタンパク質を制限する必要はないと考えられています。
逆に不必要に制限していると偏食になり、健康全体で考えたときにはデメリットになってしまうかもしれません。
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※肉食を推奨しているわけではありません。
便秘とアンモニアの関係
便秘をしていると、腸内でアンモニアを作り出す細菌が増えやすくなります。
肝臓の悪い犬猫は、普段から便秘にならないように食事に気をつけてあげましょう。
基本的には腸内の善玉菌を増やす食事が良いでしょう。
場合によっては下剤(便秘薬)も考えられますが、必ず獣医師の判断のもとで使いましょう。
アンモニアが高いままだと肝性脳症の危険
肝機能の低下によって、体の中にアンモニアがたまってくると、脳がダメージを受けやすくなります。
ダメージの程度によって、性格が変わったように行動したり、気分や意欲に変化が出てきたり、異常な症状が出てきます。
こういった脳の障害は肝性脳症と呼ばれ、放置することはできません。
肝性脳症のメカニズムにはまだわからない部分もありますが、体内のアンモニアを減らすことは重要です。
動物病院からは治療として、腸内の細菌を抑える薬や、アンモニアが作られにくくなる薬が処方されるかもしれません。
同時に肝臓サポート食など、低タンパクの食事にするように指示されると思います。
プチ断食で日頃から対策
肝臓の健康を心配しているときは、空腹時間をしっかりと取ってあげると良いと思います。
治療としてのシビアな断食では、犬猫たちにストレスがかかってしまいますが、プチ断食ならばそれほどでもないでしょう。
毎日でなくても、週に2~3日だけのプチ断食でもメリットが有ると思います。
食事の回数を多くして、空腹時間をなくしてしまうことは、肝臓にとってあまり嬉しいことではありません。
まずは間食を減らしてみると良いでしょう。
4~5回の食事は3回に、3回なら2回にと、1日量を減らすのではなく、まとめてあげるイメージです。
とくにジャーキー類をちょくちょく与えるのはおすすめしません。
それらタンパク質を食事のあいまに与えていると、いつも腸の中でアンモニアが発生している状態になりがちです。
食べることが大好きで、すごく楽しみにしている犬猫たちにとっては、いきなり空腹に耐えろと言ってもつらいでしょう。
一緒に遊ぶ時間を増やしてあげたり、食事は量よりも味で喜ばせるようにしたり、楽しみをシフトさせながら徐々に始めていくと上手くいくと思います。