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動物の健康コラム

犬や猫がそれほど塩分を必要としない理由

犬猫と食塩

塩は、地球上のほとんどすべての動物に必要で、もちろん犬猫たちにも必須の物質です。

しかし私たち人間ほど塩分を摂る必要がありません。

 

同じ哺乳類なのに、なぜ差があるのでしょう?

その理由の1つは、汗のかきかたの違いにあります。

 

犬や猫は、汗によって失われる塩分が少ない

動物が塩分を摂取しなくてはならないのは、体外に出ていってしまう塩分を補うためです。

塩分は体内で燃えたり、消えたり、無くなることはありません。

どのようなときに減ってしまうのかと言うと、尿や糞便、そして汗によって体外に出ていくときです。

 

人間は体温調節のために汗をよくかく動物ですが、犬や猫は汗をあまりかきません。

つまり汗による塩分の損失量がかなり少ないのです。

失われる塩分が少ないわけですから、当然ながら摂取しなくてはならない必要量が少なめで済みます。

 

これが人に比べて犬や猫があまり塩分を必要としない大きな理由です。

 

体温調節の仕組みの違い

汗は、蒸発するときに熱を奪います。

それを気化熱といい、動物の体温を下げるといった大きな役割を担っています。

 

人が激しい運動のあとにたくさん汗をかくのは、体の中に溜まった熱をすみやかに逃がすためです。

また室温80℃のサウナの中でも、皮膚の温度が80℃にならないのは、やはり汗による気化熱で皮膚が冷やされるためです。

人の場合、この汗を出すための汗腺が体全体に存在しています。

 

犬や猫にも汗を出すための汗腺がありますが、人に比べるとかなり少なめです。

汗をかく場所は、脚や肉球など体の一部に限定されています。

そのために犬猫たちは汗による体温調節が苦手です。

 

犬は体温を下げるために、舌を出し、呼吸を早めることで体温を下げます。

舌の唾液が蒸発するときの気化熱を体温調節に使うわけです。

 

この場合、もちろん唾液にも塩分は含まれますが、塩分自体は蒸発しません。

唾液が流れ落ちなければ、塩分は再び回収されることになります。

ですので犬は体温調節で塩分をあまり損失しません。

 

塩を多く摂ってしまったら危険?

犬猫たちの塩分必要量は人よりも少ないため、毎日多く与えてしまっていると塩分は過剰気味になります。

それが必ず危険であるとは言えませんが、過剰な塩分摂取は健康リスクを高める場合があります。

 

もちろん体には塩分濃度を調節する仕組みが備わっていて、過剰な塩分は尿などから排泄されていきます。

そのため、いつまでも大量の塩分が体に蓄積するということはありません。

 

しょっぱいものを食べると喉が渇き、水を多く飲みたくなりますが、水を摂ることで体内の塩分濃度を下げることができます。

また尿量が増えて、塩分を排泄しやすくなります。

 

そもそも塩分とは?

塩分とは塩気のことですが、塩のことだと考えて良いでしょう。

塩は塩化ナトリウムであり、化学式で書けばNaClです。

Naはナトリウム、Clは塩素です。

ナトリウムは健康を維持するために重要な必須ミネラルの1つです。

 

塩は乾燥していれば塩化ナトリウムとして存在します。

お店で売られている塩、私たちが料理に用いる塩は塩化ナトリウムの結晶です。

本来は無色透明ですが、光を反射して白く見えます。

 

水があるとイオン化して塩素とナトリウムに分かれてよく溶けます。

体内でも塩分はほとんど溶けた状態で存在していると考えて良いでしょう。

海水中の塩分、点滴中の塩分もそのような形です。

 

フードにも含まれてる?

フードには適量とされる塩分が必ず含まれています。

そのおかげで尿や糞から失われる分の塩分を補うことができますから、不足することがまずありません。

 

メーカーによる塩分の含有量に差はあると思いますが、それはある程度の範囲の中ならば健康に影響を与えないためです。

完全手作り食の場合は、この差が大きくなってしまうことがあるかもしれませんので、少し気をつけてあげたいですね。

フードをベースにして、一部トッピングを加える程度であれば適量から大きく外れることはあまりないでしょう。

 

悪者扱いされがちな塩分ですが、上手に付き合って、ペットを丈夫に健康に育ててあげましょう!

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