結論から言ってしまえば、ペットはテレビ番組の内容を直接は理解できません。
ただし私たち飼い主の反応から、テレビに対して間接的な理解や、何らかの感情を持っているでしょう。
普段何気なく観ているテレビについて、犬や猫の気持ちになって一緒に考えてみましょう。
犬や猫は飼い主を介して、テレビを感じ取る
犬や猫はテレビの内容を直接理解することはできません。
ですが、テレビの電源を入れたとき、私たち飼い主の行動や気持ちに変化が出るとしたらどうでしょう。
テレビに集中しているとき、私たちはなかなか自分自身の変化に気づくことができませんが、ペットはそれをしっかり観察しています。
私たちはテレビを観ているとき
- 大笑いしたり、逆にまったく声を発さなかったり。
- リラックスしたり、緊張したり。
- 急にテレビに合わせて運動を始めたり、何時間も座りっぱなしだったり。
- 口をポカーンとあけていたり、への字口だったり。
多くの人は自分に興味のあるチャンネルに合わせるわけですから、何かしら言動に変化が出るでしょう。
自分では気が付かない変化を、もしかするとペットはずっと観察しているかもしれませんね。
呼吸数の増減や、冷や汗の臭いなどを察知しているかもしれません。
そしてボスたる飼い主の気持ちを察したとき、それを自分のことのように感じています。
まるで以心伝心で楽しくなったり、悲しい気分になります。
彼らから直接話を聞くことができませんので、どうしても仮説や推測ばかりになりますけれど、おそらく楽しいテレビ番組のほうがご愛犬ご愛猫に対してメリットが大きい。
そのように考えられます。
テレビが好き
娯楽番組、お笑い、好きなタレントが出ているときなど、私たちの表情は自然とほころびます。
ペットは飼い主の楽しそうな表情が大好きです。
テレビの番組自体の楽しさを理解できなくても、テレビが飼い主を喜ばせていることは理解できます。
「飼い主がニコニコになるテレビが大好き!こっちまで楽しくなってくる。」
娯楽番組ばかり観ていると頭が悪くなってしまうかもしれませんけれど、たくさん笑うことで得られる脳や体に対するメリットも無視できません。
ペットはなかなか大笑いしてくれませんけれど、飼い主の気持ちはもちろん伝わりますから、楽しい番組はメンタル面から彼らの健康度を高めてくれると考えることができます。
きっとメンタルにも支配される免疫力も高まってきます。
テレビが嫌い
最近のニュース番組は、暗い内容が多く、視聴者はどうしても不安になりがちです。
飼い主が暗い表情で、一切笑わずにテレビに釘付けになっているとき、ご愛犬やご愛猫は楽しいと感じるでしょうか。
「さっきまで明るかったのに、テレビを見始めたら表情が曇ってる。だからあの機械は嫌い。」
気持ちが暗くなる番組ばかりみていると、テレビがペットにとってストレスになるかもしれません。
ニュース以外にも、サスペンスドラマ、ホラー映画などもそうです。
飼い主を通してテレビは怖い箱だと感じやすくなります。
囲碁や将棋の番組で考え込んでしまっているとき、応援選手がボギーを叩きまくっているゴルフ中継、ちょっと集中を解いてご愛犬やご愛猫の様子を見てみましょう。
動物番組は?
動物番組に興味を示すペットがいます。
テレビの中の動物を仲間だと思うかもしれませんし、急に縄張りに侵入してきた敵のように思うかもしれません。
早く箱から出てきて一緒に遊ぼうと吠えたり、もしかすると飼い主の愛情を奪うライバルのように思う犬猫もいるかもしれません。
いずれにしても、テレビを嫌いになってしまったりストレス原因になってはこの先きっと困りますので、楽しく観てもらえるように教えてあげたいところです。
テレビから流れてくるBGMの影響
少し気にしてみると、テレビは音楽にあふれていることがわかります。
音楽番組は当然ですが、ドラマや映画、ワイドショーなどは音楽だらけですし、CMについてもBGMが無いものを探すほうが困難です。
そしてこのBGMは、映像以上に私たちの心を揺さぶり、楽しさや悲しみ、緊張感や高揚感を演出しています。
ところで音楽には明るい曲と悲しい曲があります。
大まかに言えば長調と短調であり、我々人間は長調を「明るい曲調」、短調を「悲しい曲調」と認識します。
これは本能のように思えるかもしれませんが、人類が生まれ持つ共通認識ではなく、鑑賞者の経験に基づくもののようです。
子供の頃から耳にしてきた、シチュエーションごとによく使われる曲のパターンを経験として保持しているのです。
ですので、犬や猫たちに初めて短調を聴かせたとき、悲しい気分になるかと言えば、そうではなさそうです。
だからといって、音楽に何も感じないわけではありません。
たとえば何かの鳴き声のように聴こえるトロンボーンだったり、小鳥のようなフルートやピッコロのさえずりには、何かしら反応してもおかしくありません。
またテンポ、リズムによっては、母体の中にいたころの記憶を蘇らせたり、曲のペースとともに鼓動が速まるようなことは考えられます。
和音についても、周波数の干渉から心地よく感じたり、警戒心を持ちやすい不協和音はありそうです。
音の周波数が微妙に異なるだけでも、もしかすると脳の電気信号や細胞の周波数にわずかな影響を与えるかもしれません。
もちろんガラスを引っかくときの音の感じ方が人によって違うように、個体差はあるでしょう。
いずれにしても、少なくとも飼い主は曲によって心に変化が現れ、それをペットは観察しています。
こうしたことをもとに考えていくと、5年も10年も家族とともに過ごしてきたペットは、明るい曲と悲しい曲のそれぞれの特徴をある程度理解できている可能性を感じます。
つまり、BGMが多用されるテレビ番組は、犬猫たちからしても、なんとなく雰囲気がわかるのではないでしょうか。