「なんだか今のフードに飽きてしまったみたい・・・」
そういったとき、あなたならどうしますか?
きっと多くの方は、別のフードへの変更を思いつくでしょう。
しかし気をつけないと、味を追求してばかりではペットをどんどんグルメにしてしまうかもしれません。
「ちょっと渋れば、すぐに別の美味しいご飯が出てくる。」
そんなふうに、ご愛犬ご愛猫が学習してしまうと、のちのち苦労することになります。
そういったペットを、私は「お姫様タイプ」と呼ぶことがあります。
もしご愛犬ご愛猫がお姫様になりつつあるかもと感じたら、ぜひ以下をヒントに工夫してみてください。
今夜の食事がきっと美味しくなります。
お腹をペコペコにさせる
当たり前のことですが、人はお腹がペコペコになると、料理をとても美味しく感じます。
食事の味付けを変えていないのに、美味しくなるのです。
不思議ですけれど、「空腹は最高のご馳走」と言われるとおり。
これは犬や猫でも一緒です。
ひとつ話をしますね。
「お姫様タイプ」の語源にしている、どこかで聞いたような日本の昔ばなしです。
むかしむかし、あるところに、それはきれいなお姫様がいました。
小さい頃からお殿様にたいへん可愛がられ、お姫様の暮らしは何一つ不自由がありません。
ある日、隣のお城まで出かけた姫様。
その帰り道で困ったことが起こりました。
突然、乗っていた籠が壊れてしまったのです。
思いのほか籠の修理に手間取り、見上げればもう夕焼け空です。
夜道は危険
家来の判断で、近くの村に泊まることにしました。
「おい主人、急に押しかけておいてすまないが、朝に食べたきりなのじゃ。なんでも良いので食事を作ってくれぬか?」
台所から戻ってきた主人が、申し訳なさそうに持ってきたのは
ご飯とたくあん。
お城の食事とは比べようのない、質素な食事です。
なのに、お姫様にはすごいご馳走に見えています。
お腹と背中がくっつくほどの腹ペコだからです。
一口食べたら、もうたいへん。
箸が止まりません。
茶碗も置かずに、行儀も忘れてまさに無我夢中。
「こんな美味しいもの、今まで食べたことがない~」
それからというもの、お姫様は出かけるたびに(籠が壊れると良いの~)なんて考えてしまうのでした。
おしまい。
まずは間食をやめてみる。
やめられなかったら、大根スティックや、スープに置き換えてみる。
そういった工夫は、結局ペットの喜びを高めてくれるかもしれません。
笑顔で食事を出す
食事を出すときは、ぜひ笑顔で、自信満々で出してあげましょう。
もし「食べてくれなかったらどうしよう・・・」
そんな気持ちはペットに見透かされ、美味しさが半減したり、警戒心が高まって口をつけないかもしれません。
これは自分に置き換えてみるとわかりやすくなります。
レストランでの話です。
いつものハンバーグを注文し、ウエイトレスが持ってきます。
ところが表情が暗く、手が少し震えているように見えます。
何かブツブツつぶやいています。
「大丈夫かな、大丈夫かな」そんなふうに言っているようです。
私たちの顔をチラチラ気にして、料理をテーブルに置きました。
「お、おまたせいたしました。もし何かあれば言ってください。」
さて、あなたは食べますか?
もちろんいつもどおりのハンバーグです。
いつもどおりジューシーで、食欲をそそる匂いがします。
でも食べないですよね。
まず、ウエイトレスに確かめたいことがあるはずです。
「大丈夫かなって言ってたけど、このハンバーグのことだよね?何があったのか聞かせてれる?」
それを確認せずに食べることはできません。
では、言葉のわからない犬猫たちは、どうしましょう。
不安なまま食べるか、食べずに我慢するか。
どちらかです。
ですので、考え事をしながら食事を出してはいけません。
特に治療や検査のネガティブな気持ちは、フードの味を悪くします。
もっといえば、「これを食べたら元気が出てくるよ!」と笑顔で伝えるべきです。
笑顔の力を使わないなんて、実にもったいないこと。
なぜなら笑顔は最高のスパイスなのですから^^
じらしテクニック(少し上級者向け)
人はじらされると期待感が高まるものです。
犬も猫も上手にじらしてあげれば、食事の美味しさアップに繋げることが可能です。
ここで、2種類の食事の出し方を挙げてみます。
どっちがじらしているか考えてみてください。
まず、ひとつめ
シンプルです。
- 犬がわんわん吠えて催促する
- ごめんね、今出しますよと、急いで食事を出す
- 犬がかぶりつく
では、ふたつめ
まいります!
- 犬がわんわん吠えて催促してくる
- 飼い主もわんわん言い返してみる
- 実はもう準備できているのに、なんだかんだ言って食事を出さない
- 犬は匂いで気がつくが、しばらくとぼける
- 忘れてた!と頂き物のお菓子を思い出して食べる
- 犬のすさまじい眼光を横目で確認する
- 食事を床に置くが、待たさせる(10秒~5分)
- 待てができて偉いね~とか言いながらよだれを確認する
- フェイクを2~3回入れておいて、本当のよし!
言うまでもありませんが、じらしているのは2つ目のほうですね。
犬によるかもしれませんけれど、食事のありがたさを感じやすいでしょう。
きっと美味しく感じるでしょう。
まるっきり真似する必要はありません。
我慢できないご愛犬、ご愛猫に全部やったら、おかしくなってしまうかもしれません。
もしかすると飼い主の方が我慢できないかもしれません。
わんわん吠えるだけでなく、つぶらな瞳で見つめてきたり、芸をやってみせたり、あの手この手を使ってきますから。
でもヒントにして頂けると嬉しいです。
ちなみに私の場合は、食事を置いてから待てを5分間くらいやっていました。
その5分間はじーっと待たせるのではなくて、一緒にお皿のまわりで踊ったり、椅子取りゲームのようにぐるぐるしたり。
私の運動不足も少し解消できて、一石二鳥の作戦です。
じらしは軽いストレスをかけますが、本来そういうものです。
コントロールされた我慢によって、報酬を大きく感じさせる上級テクニックとも言えるでしょう。
フランス料理では最初に出るオードブルやスープが出てきますよね。
これから出てくる料理へ期待を膨らませ、食欲を増進させてくれます。
なのに、「スープもオードブルも食べた気がしないよ。もう我慢の限界。何なのこれ、じらし?すぐメインもってきて!」
もしそんなことを言う人がいたら、関わりたくありませんよね。
牛丼屋さんのように、すぐに料理が出る。
一気に食べ終わるお店も美味しいですし、人気なのはわかります。
私も好きですし、多くのワンコもそんな感じかもしれません。
でも、たまには違う雰囲気を試してみるのはどうでしょう。
じらしテクニックは少し上級者向けかなと思いますけれど、ぜひアレンジして少しだけでも良いので取り入れてみましょう。
味が美味しくなるだけでなく、我慢することでメンタルまで強くなってくるおまけ付きです。